コンピュータの歴史と『インターネット的』な価値観。ハクシャヲカケルラジオ-配信要約

#目次

こちらの記事では、株式会社Hackusha が公開しているポッドキャスト番組「ハクシャヲカケルラジオ」から要約した内容をチラリと公開しています。
トークの内容で興味のある箇所があればこちらの資料も補足としてご覧ください。

ポッドキャストはSpotify, Apple Podcast, Youtube music, Amazon music に配信中。
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番組紹介はこちらのページからどうぞ。


エピソードテーマ:

「世界で一番楽しいITの話」
エピソード2サブテーマ: コンピュータの歴史と『インターネット的』な価値観


本編概要

コンピュータの歴史

紀元前3万5000年前:レボンボの骨

コンピュータの歴史は意外にも紀元前3万5000年にさかのぼります。アフリカのレボンボ山脈で発見された動物の骨には、計算や集計のための刻みがありました。これは人類が初めて数字を記録したもので、最も古い数学的遺物とされています。これを「レボンボの骨」と呼びます。当時の人々は、この骨に刻まれた記号を使って数を数えたり、取引を記録したりしていました。この初期の数の記録は、現在のデジタル技術の先駆けといえるでしょう。

紀元前2500年前:シュメールのアバカス

紀元前2500年頃、シュメール人はアバカスを発明しました。アバカスは今日のそろばんの前身で、大きな数の足し算、引き算、掛け算、割り算を行うための道具でした。シュメール人はこの道具を使って、複雑な計算を効率的に行うことができました。アバカスはその後、各地で発展し、現在のコンピュータの計算機能の基礎を築いたのです。

産業革命と戦争がもたらした技術革新

産業革命が進むとともに、技術の進歩が急速に進みました。特に、暗号解読のための計算が重要視された第二次世界大戦中、アメリカやイギリスでは、暗号解読用の巨大なコンピュータが開発されました。これにより、計算能力が飛躍的に向上し、戦争終結に貢献しました。この時期の代表的なコンピュータとして、アラン・チューリングが設計した「コロッサス」や、ジョン・フォン・ノイマンが関わった「ENIAC」が挙げられます。

メインフレームからパーソナルコンピュータへ

1950年代から1960年代にかけて、コンピュータは主にメインフレームとして発展しました。これらの大型コンピュータは、政府機関や大企業で使用され、多くの人々がアクセスすることはできませんでした。しかし、1970年代になると、技術の進歩と共に、コンピュータの小型化と低価格化が進みました。これにより、個人が利用できるパーソナルコンピュータ(PC)が登場しました。

ヒッピーとギークたちの革命

1970年代、カリフォルニア州メンロパークでは、ヒッピーやギークたちが集まり、個人向けコンピュータの開発に取り組みました。彼らは「ホームブリューコンピュータークラブ」という団体を結成し、情報を共有しながら新しいコンピュータ技術を探求しました。このクラブには、後にマイクロソフトを創業するビル・ゲイツや、アップルを創業するスティーブ・ジョブズも参加していました。彼らの活動は、今日のコンピュータ文化の基盤を築く重要な一歩となりました。

表計算ソフト、ビジカルクの登場

1979年、世界初のパーソナルコンピュータ向け表計算ソフト「ビジカルク」が発売されました。ビジカルクの登場により、コンピュータはビジネスの世界で欠かせないツールとなりました。それまで、手作業で行われていた複雑な計算やデータ管理が、コンピュータを使って迅速かつ正確に行えるようになりました。ビジカルクは、その後のスプレッドシートソフトの先駆けとなり、多くの企業で広く利用されました。

インターネットの誕生と進化

1990年、ティム・バーナーズ=リーによってワールドワイドウェブ(WWW)が発明され、インターネットの時代が到来しました。WWWの誕生により、情報の共有とアクセスが劇的に変わりました。1995年に発売されたWindows 95は、インターネットを一般家庭に普及させる大きな要因となりました。その後、2001年にはiTunesがリリースされ、2005年にはSNSやブログが急速に普及しました。これにより、インターネットはますます多様な用途に利用されるようになりました。

AI技術の進展

2022年には、OpenAIが開発したChatGPT-3がリリースされました。ChatGPT-3は、自然言語処理の分野で画期的な進歩を遂げ、さまざまな応用が期待されています。AI技術の進展により、私たちの生活や仕事のあり方が大きく変わりつつあります。

インターネット的な価値観

糸井重里氏の『インターネット的』という本では、インターネットの本質を以下のように述べています。

リンクの力

インターネットの最大の特徴は、リンクを通じて情報が有機的に繋がることです。例えば、水について調べると、その情報からコーヒーの話題に繋がるなど、多層的な情報の連鎖が可能です。これにより、インターネット上での情報探索は、一つのトピックから無限の関連情報へと広がっていく楽しさがあります。このリンクの力は、従来の辞書や参考書にはない、新しい知識の広がりをもたらします。

シェアの価値

インターネットでは、情報をシェアすることで他者と喜びを共有することができます。例えば、美味しいレシピを共有することで、瞬く間にその価値が広がり、多くの人々に幸せをもたらすことができます。このシェアの価値は、インターネットが普及する以前には考えられなかったものです。個人の経験や知識が、インターネットを通じて多くの人々と共有され、新たな価値が生まれるのです。

フラットな価値観

インターネット上では、年齢や性別、地位に関係なく情報が平等に扱われます。これにより、新しい価値観や競争が生まれることもあります。例えば、YouTuberやインフルエンサーといった新しい職業は、インターネットがもたらしたフラットな価値観の一例です。従来の権威や立場に関係なく、個々の創造力や表現力が評価される時代が到来しました。

まるごとの情報伝達

インターネットは、情報をまるごと伝達することが可能です。従来のメディアでは、限られたスペースや時間の中で情報を要約して伝える必要がありましたが、インターネットでは詳細な情報をそのまま提供することができます。例えば、インタビューの全文や動画をオンラインで公開することで、読者や視聴者はより深く、より多くの情報を得ることができます。このまるごとの情報伝達は、インターネットの大きな利点の一つです。

信頼の出発点

インターネット時代において、信頼は非常に重要な要素です。信頼される情報やサービスは、多くの人々に支持され、広がっていきます。糸井氏は、社会心理学の実験を引用し、誠実で正直な行動が長期的には大きな成果をもたらすことを示しています。インターネット上での信頼は、単に情報の正確さだけでなく、提供者の誠実さや一貫性にも大きく依存しています。

クリエイティブの水子

インターネットは、無数のクリエイティブなアイデアが浮かんでは消える場所でもあります。これらのアイデアは、時には忘れ去られることもありますが、インターネット上ではそれを試してみる機会が多く存在します。思いついたアイデアをとりあえず発表してみることで、新たな価値が生まれる可能性があります。インターネットの登場により、アイデアの実験と共有が容易になり、クリエイティブな活動が促進されています。

まとめ

インターネット的っていうのはあくまで考え方であって、別にインターネットがなくてもインターネット的な考え方、価値観の捉え方というのはできます。
こういう社会的な流れであったり、考え方っていうのが大切であって、新しいテクノロジーや言葉にだけ乗せられたらもったいない。
本質的な部分を忘れちゃうと、DXなど現在のトレンドワードも同じくですが、踊らされず自分自身の価値観というのをちゃんと身につけて判断していかないといけない。

糸井氏は、インターネットの未来についても触れています。彼は、「インターネットは料理を乗せるお皿であり、一番面白いのはお皿の上の料理である」と述べています。この言葉は、インターネット自体が目的ではなく、それを通じて何を伝え、何を共有するかが重要であることを示唆しています。

次回は、プログラミング的思考についてお話しする予定ですので、ぜひお楽しみに。

参考文献

※順不同

  • インターネット的 / 糸井重里 著 / PHP文庫 / 2001年
  • DX失敗学 / 佐伯 徹 / 日経BP / 2023年
  • イラストで学ぶコンピュータの歴史 / レイチェルイグノスキー 著 / 杉本舞 訳 / 創元社 / 2023年
  • 教養としてのプログラミング的思考 今こそ必要な「問題を論理的に解く」技術 / 草野俊彦 著 / SBクリエイティブ株式会社 / 2018年
  • 生成AIで世界はこう変わる / 今井 翔太 著 / SBクリエイティブ株式会社 /2024年
  • デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門 / 長尾 一洋 (著) / KADOKAWA / 2022年
  • 超DX仕事術 / 相馬正信 著 / サンマーク出版 / 2022年
  • 仕事のムダをゼロにする 超効率DXのコツ全部教えます / 内田 光治 (著) / アスコム / 2021年
  • 世界一流エンジニアの思考法 / 牛尾剛 著 / 文藝春秋 / 2023年

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